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צ

ツァデー

Tsade / Tsadi
発音 /ts/(強い ts・咽頭化音)・語尾形 ץ
順番 アレフベット第18文字
語源 釣り針・猟師(tsade)

字形の由来

ツァデーの字形は「釣り針」または「猟師」を表す象形に由来するとされます。古代フェニキア文字では人が横たわるような形をしており、その変形が現代の צ となりました。語尾形 ץ(ツァデー・ソフィート)は下に長く伸びる形をとります。

ツァデーが表す /ts/ は、テートの強い /t/ と同様に「咽頭化音(強化音)」です。アラビア語ではこの音が独自の文字を持ち、今も区別して発音されます。旧約聖書でツァデーから始まる語の中で最も神学的に重要なのは צֶדֶק(正義)と צְדָקָה(義)の語群で、アモス・イザヤ・ミカなど旧約預言の社会倫理の核心語として機能します。

聖書の単語

צֶדֶק
Tsedek
正義、公正、適切さ
旧約聖書の社会倫理・神学の基礎語。צְדָקָה(義)と密接に関連し、裁判・商取引・人間関係における「正しさ・適正さ」を指す。詩篇45:7の「אָהַבְתָּ צֶּדֶק(あなたは正義を愛された)」は新約がキリストに適用する。エルサレムの古名「מַלְכִּי צֶדֶק(メルキゼデク)」(創世記14章)は「正義の王」を意味し、ヘブライ書がキリストの祭司職の先型として論じる。
צְדָקָה
Tsedaqah
義、正しさ、施し
מִשְׁפָּט(正義・裁き)と対をなして預言書に頻出する語。アモス5:24の「וְיִגַּל כַּמַּיִם מִשְׁפָּט וּצְדָקָה כְּנַחַל אֵיתָן(正義を洪水のように流し、恵みの業を大河のように、尽きることなく流れさせよ)」は旧約の社会倫理の頂点を示す一節。後期ユダヤ教では「施し・慈善行為」の意味も強まり、マタイ6章の「施し(ギリシア語 δικαιοσύνη)」の背景概念となった。
צַדִּיק
Tsaddiq
義人、正しい者
同語根の形容詞・名詞で「義(צֶדֶק)の人」を指す。詩篇1篇が「義人(צַדִּיק)」と「悪しき者(רָשָׁע)」の対比を詩篇全体の序文として提示し、詩篇は「義人とは何か」を問い続ける書として展開する。創世記18:23〜32でアブラハムがソドムのために「義人五十人のために(לְמַעַן חֲמִשִּׁים הַצַּדִּיקִם)」神に執り成す場面でも中心語。
צִיּוֹן
Tsion
シオン(エルサレムの聖なる丘)
エルサレムの神殿の丘・ダビデの都を指し、転じてイスラエル・神の民全体の象徴となった地名。詩篇に87回・イザヤ書に47回登場し、「בַּת צִיּוֹן(シオンの娘)」はエルサレム・イスラエルを人格化した定型表現。詩篇137:1の「バビロンの流れのほとりに座り、シオンを思って、わたしたちは泣いた」は捕囚の悲しみを象徴する世界的な名句。現代の「シオニズム」もこの語に由来する。
צָבָא
Tsava
軍隊、天の万軍、奉仕(礼拝の奉仕)
「軍勢・軍隊」を意味するとともに、神名「יְהוָה צְבָאוֹת(万軍の主)」に使われる重要語。このタイトルは特にイザヤ書・エレミヤ書・ハガイ書・ゼカリヤ書に集中して登場し、神の宇宙的支配(天の軍勢を指揮する王)を表す。また「幕屋で奉仕する女たち(הַצֹּבְאֹת)」(出エジプト38:8)のように「礼拝奉仕」の意味でも使われる多義語。
צוֹם
Tsom
断食(とだえること)
旧約聖書において断食は悲嘆・悔い改め・祈りの集中を表す宗教的行為。エズラ8:21で「וָאֶקְרָא שָׁם צוֹם(そこで断食を宣言した)」と旅の安全を祈る断食、エステル4:16でエステルが民のために命がけの断食を訴える場面が有名。イザヤ58章では「神が求める断食」とは「虐げられた者を解き放つこと」であると預言者が語り、外的行為から内的倫理への転換を促す。
צוּר
Tsur
岩、岩山(神の象徴として)
「岩」を意味するが、神の堅固さと頼りがいを表すメタファーとして詩篇に多数登場する。詩篇18:3の「יְהוָה צוּרִי וּמְצוּדָתִי(主はわたしの岩、わたしの要塞)」、詩篇31:3の「כִּי סַלְעִי וּמְצוּדָתִי אָתָּה(あなたはわたしの岩、わたしの城)」など。申命記32:4の「הַצּוּר תָּמִים פָּעֳלוֹ(岩なる方、その御業は完全)」はモーセの歌の冒頭でも神の確かさを「岩」で表現する。
צָחַק
Tsachaq
笑う、戯れる
「イサク(יִצְחָק)」という名前の語源となった動詞。創世記17:17でアブラハムが「百歳の男に子が生まれるだろうか」と笑い(וַיִּצְחָק)、18:12でサラが「年老いた私にそんな楽しみがあるだろうか」と心の中で笑った。その後生まれた子に「笑い(イサク)」と名付けられた(創世記21:6)。神の約束の実現が「笑い」に結びつく、旧約聖書の中でも最もユーモラスな命名エピソード。
צֹאן
Tson
羊・ヤギの群れ、家畜
旧約聖書の農牧社会を反映する基礎語。族長たちの富の指標として創世記に頻出し(アブラハム・ヤコブ)、祭儀的犠牲の主要な動物でもある。詩篇23:1の「יְהוָה רֹעִי(主はわたしの羊飼い)」というメタファーの背景をなし、詩篇100:3の「עַמּוֹ וְצֹאן מַרְעִיתוֹ(主の民、その牧場の羊)」のように神とイスラエルの関係を牧者と羊の関係で示す旧約聖書の主要イメージを形成する。
צֶמַח
Tsemach
芽、若枝、植物
「植物が芽吹く・生育する」動詞 צָמַח から派生。エレミヤ23:5の「הִנֵּה יָמִים בָּאִים נְאֻם יְהוָה וַהֲקִמֹתִי לְדָוִד צֶמַח צַדִּיק(主の御告げ。わたしはダビデに義の若枝を起こす)」、ゼカリヤ3:8・6:12の「אִישׁ צֶמַח שְׁמוֹ(その名は若枝という者)」は旧約聖書のメシア預言の核心表現として新約がキリストに適用する。
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アレフベット全22文字

א Alef ב Bet ג Gimel ד Dalet ה He ו Waw ז Zayin ח Het ט Tet י Yod כ Kaf ל Lamed מ Mem נ Nun ס Samekh ע Ayin פ Pe צ Tsade ק Qof ר Resh שׁ Shin ת Tav
פペー コーフק

聖書の引用は特記のない限り、聖書 新共同訳(日本聖書協会)による。

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