ד
ダレト
Dalet
字形の由来
ダレトの字形は、古代フェニキア文字の「扉・戸口(דֶּלֶת / delet)」に由来します。三角形に扉の形を簡略化したものがやがてヘブライ文字の ד になりました。ギリシア文字の「デルタ(Δ)」、ラテン文字の「D」も同じ起源を持ちます。
ダレトは /d/ の音を表します。ユダヤの伝統では、ダレトの字形はギメル(施しをする者)の方を向いて立つ「貧しい者(דַּל / dal)」を表すという解釈があります。「扉」を意味する文字名にちなみ、神のみもとへの入り口の象徴とされることもあります。
聖書に登場する単語
דְּמוּת
Demut
似姿、かたち
「我々にかたどり(צֶלֶם)、我々に似せて(דְּמוּת)、人を造ろう」(創世記1:26)。人間が神のかたちに創られたという「神の形象(Imago Dei)」の概念はキリスト教・ユダヤ教神学の根幹をなす。
דֶּרֶךְ
Derech
道、方法、生き方
「道」「方法」「生き方」を意味する語。「主は天使を使わして、エデンの園への道(דֶּרֶךְ)を守らせた」(創世記3:24)。詩篇1篇「主が認められる道(דֶּרֶךְ)がある」など、信仰の歩みを表す語として旧約聖書全体に広がる。イエスの「わたしは道(ὁδός)」(ヨハネ14:6)の背景にもある。
דָּם
Dam
血
「お前の弟の血(דָּם)が土の中からわたしに向かって叫んでいる」(創世記4:10)でカインとアベルの物語に登場。過越の犠牲・契約の血・贖罪の概念と深く結びついた語。「血と肉(דָּם וּבָשָׂר)」という表現で人間の弱さを指す用法もある。
דָּבָר
Davar
言葉、事柄、出来事
「言葉」「事柄」「出来事」を意味する多義語。「主のことば(דְּבַר יְהוָה)がアブラムに臨んだ」(創世記15:1)に初登場し、以後預言者への啓示の定型句として繰り返される。「神はこれらすべての言葉(דְּבָרִים)を告げられた」(出エジプト20:1)は十戒の導入句。
דּוֹר
Dor
世代、時代
「ノアはその世代(דּוֹר)の中で正しい人であった」(創世記6:9)。「代々限りなく(לְדֹר וָדֹר)」という表現は詩篇で神の永遠性を讃える定型句。系譜・歴史・伝承を語る文脈で旧約聖書全体に登場する。
דְּבַשׁ
Devash
蜜、蜂蜜
「乳と蜜(חָלָב וּדְבַשׁ)の流れる地」(出エジプト3:8)はカナンの豊かさを象徴する聖書で最も有名な表現のひとつ。「主のみことばは…蜜(דְּבַשׁ)よりも甘い」(詩篇19:10)のように神のことばの豊かさのたとえにも使われる。
דְּרוֹר
Deror
自由、解放
「ヨベルの年には、この地のすべての住民に自由(דְּרוֹר)を宣言せよ」(レビ25:10)。アメリカの自由の鐘(Liberty Bell)に刻まれた聖書の一節でも知られる。イザヤ61:1「捕われ人に自由(דְּרוֹר)を」はイエスがナザレで引用した箇所(ルカ4:18)。
דִּין
Din
裁き、正義
「裁き」「正義」を意味する語。「主はあなたの訴え(דִּין)を弁護される」(箴言23:11)のように、神が弱い者の側に立つ概念として重要。「ダニエル(דָּנִיֵּאל)」という名前は「神は裁く」という意味を持ち、この語根に由来する。
דָּוִד
David
ダビデ
イスラエル最も偉大な王の固有名詞。「主はご自分の心にかなう人を求められた」(サムエル上13:14)として選ばれ、旧約聖書の約3分の1に登場する。詩篇の多くはダビデの作とされ、「ダビデの子(בֶּן דָּוִד)」はメシア・イエスの称号となった。
דְּבִיר
Devir
至聖所、内陣
神殿内部の最も聖なる部屋「至聖所」を指す語。「ソロモンは神殿の奥に内陣(דְּבִיר)を設けた。そこに契約の箱(אֲרוֹן הַבְּרִית)を安置するためである」(列王上6:19)。年に一度、大祭司のみが入ることを許された場所。
聖書の引用は特記のない限り、聖書 新共同訳(日本聖書協会)による。