ヘブライ語Alefbet道場
שׁ

スィン/シン

Sin / Shin
発音 シン /ʃ/(右ドット・שׁ)・スィン /s/(左ドット・שׂ)
順番 アレフベット第21文字
語源 歯(shen)

字形の由来

スィン/シンの字形は「歯(שֵׁן / shen)」を象形したものに由来します。古代フェニキア文字では三つの突起を持つ歯のような形をしており、現代の שׁ / שׂ の三股の形はその名残です。ギリシア文字のシグマ(Σ)やラテン文字の W の遠い祖先にあたります。

この文字はアレフベット22文字の中で唯一、点(シン・ドット)の位置によって二種類の異なる音を持ちます。右上に点がつくと「シン(שׁ)」で /sh/ の音、左上に点がつくと「スィン(שׂ)」で /s/ の音になります。マソラ学者が母音記号を体系化する以前は両者を区別する表記がなく、文脈で読み分けるのが一般的でした。シンは旧約聖書で最も多く登場する文字の一つで、שָׁמַיִם(天)・שָׁלוֹם(平和)・שַׁבָּת(安息日)など聖書神学の最重要語の頭文字を担います。

聖書の単語

שָׁמַיִם
Shamayim
天、空(複数形のみ)
創世記1:1の「בְּרֵאשִׁית בָּרָא אֱלֹהִים אֵת הַשָּׁמַיִם וְאֵת הָאָרֶץ(初めに、神は天地を創造された)」に初出。旧約聖書で400回以上登場する基礎語で、常に複数形で使われる。「神の住まい(שָׁמַיִם מְרוֹמִים)」「神が聞かれる場所(מִן הַשָּׁמַיִם)」として、天は神の臨在の座を象徴する空間として旧約全体に通底する。
שָׁלוֹם
Shalom
平和、完全さ、繁栄、安寧
旧約聖書で最も有名なヘブライ語の一つ。単なる「戦争がない状態」ではなく、人・社会・自然・神の関係が整った「完全な状態・繁栄・調和」を指す。民数記6:26の祭司の祝福「וְיָשֵׂם לְךָ שָׁלוֹם(あなたに平和を賜るように)」、詩篇29:11の「יְהוָה יְבָרֵךְ אֶת עַמּוֹ בַשָּׁלוֹם(主はその民を平和で祝福される)」など礼拝の締め括りに使われる。
שַׁבָּת
Shabbat
安息日、休みの日
創世記2:2〜3で神が七日目に「安息された(שָׁבַת)」という動詞から名詞化した語。十戒の第4条(出エジプト20:8〜11)で「זָכוֹר אֶת יוֹם הַשַּׁבָּת לְקַדְּשׁוֹ(安息日を心に留め、これを聖別せよ)」と命じられる。神の創造・出エジプトの記念・週のリズムの根拠として旧約全体を貫き、ユダヤ教の信仰生活の最重要要素として今日まで続く。
שָׁמַע
Shama
聞く、従う、従順に応える
ヘブライ語の「聞く」は「従う・従順に応える」を強く含意する。申命記6:4の「שְׁמַע יִשְׂרָאֵל יְהוָה אֱלֹהֵינוּ יְהוָה אֶחָד(聞け、イスラエルよ。主はわたしたちの神、主は唯一である)」はユダヤ教の信仰告白「シェマー」の冒頭語。「聞いて従う」という構造は旧約の預言・律法・契約神学の根幹をなし、サムエル記上15:22の「聞き従うことはいけにえにまさる」に集約される。
שֵׁם
Shem
名前、名声、評判
旧約聖書では名前は単なる呼び名ではなく、その存在の本質・性格・運命を体現するとされる。「שֵׁם יְהוָה(主の御名)」は神の存在・権威・性質全体を指す。創世記12:2でアブラハムへの約束に「וַאֲגַדְּלָה שְׁמֶךָ(あなたの名を大きくする)」とある。固有名詞「セム(שֵׁם)」はノアの息子の名でもあり、「セム族(Semitic)」の語源となった。
שָׁכַן
Shachan
住む、宿る、住まわせる
「神が民の中に住む」という幕屋・神殿神学の中心動詞。出エジプト25:8の「וְשָׁכַנְתִּי בְּתוֹכָם(わたしは彼らの中に住む)」は神の臨在の契約的約束。この語根から「神の住まい・幕屋(מִשְׁכָּן)」と「シェキナー(שְׁכִינָה)」という後期ユダヤ教・ラビ文学の神学概念が発展した。ヨハネ1:14の「言葉は肉となって私たちの間に宿った」はこの概念の延長線上にある。
שָׁמַר
Shamar
守る、保つ、見張る
律法・命令・契約を「守る」ことを表す旧約の最重要動詞の一つ。申命記6:17の「שָׁמוֹר תִּשְׁמְרוּן אֶת מִצְוֹת יְהוָה(主の命令を必ず守れ)」をはじめ、律法遵守の命令に繰り返し使われる。創世記2:15の「לְעָבְדָהּ וּלְשָׁמְרָהּ(耕し、守るため)」では人間が園を「守る」使命にも用いられ、「ケルビムが剣で道を守る(לִשְׁמֹר)」(창세기3:24)にも登場する。
שִׁיר
Shir
歌、詩
旧約聖書の豊かな賛美・詩の伝統を象徴する語。「שִׁיר הַשִּׁירִים(雅歌)」は「歌の中の歌=最も美しい歌」を意味する最上級表現(ソロモンの雅歌)。出エジプト15:1の「その時、モーセとイスラエルは主に向かってこの歌を歌った(יָשִׁיר מֹשֶׁה)」は旧約聖書最古の詩の一つで、救済を讃える賛美の原型。詩篇の多くにも「歌(שִׁיר)」が題名に使われる。
שָׂרָה
Sarah
サラ(女主人・王妃)
スィン(左ドット)で始まるשׂの代表語。アブラハムの妻サライが創世記17:15で神から「サラ(שָׂרָה)」と改名された。「女主人・王妃」を意味し、「あなたは多くの民の母となる(לְאֵם גּוֹיִם תִּהְיֶה)」という約束とともに授けられた名前。信仰と不信仰の間で揺れながらも神の約束の実現に参与した人物として、ユダヤ・キリスト・イスラム三宗教の族長物語に登場する。
שָׂדֶה
Sadeh
野原、耕作地、畑
スィン(שׂ)で始まるもう一つの基礎語。創世記2:5の「野の木(שִׂיחַ הַשָּׂדֶה)」に初出し、創世記3:18の「野の草(עֵשֶׂב הַשָּׂדֶה)」など、人間が労働する大地の文脈で登場する。ルツ記の全体舞台となる「刈り入れ時の畑(שָׂדֶה)」、アブラハムが購入したマクペラの「畑と洞穴(הַשָּׂדֶה וְהַמְּעָרָה)」(창세기23章)など、土地と生計の語として旧約全体に広く分布する。
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アレフベット全22文字

א Alef ב Bet ג Gimel ד Dalet ה He ו Waw ז Zayin ח Het ט Tet י Yod כ Kaf ל Lamed מ Mem נ Nun ס Samekh ע Ayin פ Pe צ Tsade ק Qof ר Resh שׁ Shin ת Tav
רレーシュ タウת

聖書の引用は特記のない限り、聖書 新共同訳(日本聖書協会)による。

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