ヘブライ語Alefbet道場
נ

ヌン

Nun
発音 /n/・語尾形 ן(ヌン・ソフィート)
順番 アレフベット第14文字
語源 魚・蛇(nun)

字形の由来

ヌンの字形は、アラム語・フェニキア語で「魚(nun)」または「蛇」を意味する語に由来するとされます。古代フェニキア文字では斜めに泳ぐ魚のような形をしており、それが変形して現代のヘブライ文字 נ になりました。語尾形 ן(ヌン・ソフィート)は下方に長く伸びた形で、単語の末尾にのみ使われます。

ヌンは語根の最初に来ると、一部の活用形で次の子音に同化して消える(ダゲシュ・フォルテに吸収される)という特徴を持ちます。たとえば「与える(נָתַן)」の命令形が תֵּן になるのはこの同化現象によります。こうした文法的特性も含め、ヌンは聖書ヘブライ語の学習で早い段階から注目が必要な文字です。

聖書の単語

נֶפֶשׁ
Nefesh
魂、命、人、欲求
旧約聖書の人間論の中心語。創世記2:7で神がアダムの鼻に命の息を吹き込み「וַיְהִי הָאָדָם לְנֶפֶשׁ חַיָּה(人はこうして生きる者となった)」とあるように、肉体と息が合わさった「生きている存在全体」を指す。霊肉二元論的な「魂」ではなく、むしろ「命ある全人格」を表す。「私の魂(נַפְשִׁי)」は詩篇で「私自身」を意味する代名詞的用法でも頻出する。
נֹחַ
Noach
ノア(安らぎ・慰め)
創世記5:29でラメクが「זֶה יְנַחֲמֵנוּ(この子は私たちを慰めるだろう)」と語ったことに由来する名前。洪水物語(創世記6〜9章)の主人公であり、「נֹחַ מָצָא חֵן בְּעֵינֵי יְהוָה(ノアは主の好意を得た)」(創世記6:8)という聖書中最初の「恵みを見出す」表現の担い手。方舟・虹の契約・新しい出発を象徴する。
נָבִיא
Navi
預言者
神の言葉を受け取り民に告げる役職。旧約聖書は「律法(תּוֹרָה)」「預言者(נְבִיאִים)」「諸書(כְּתוּבִים)」の三部構成を持ち、中間に位置する「ネビイーム」がこの語の複数形。アブラハム(創世記20:7)が最初に「預言者(נָבִיא)」と呼ばれ、モーセ・イザヤ・エレミヤ・エゼキエル・アモスら旧約聖書の形成者たちが担った役割を指す。
נָתַן
Natan
与える、授ける
旧約聖書で最も頻出する動詞の一つ(2,000回以上)。神が人に恵みを「与える」、人が神に感謝を「捧げる」など多方向に使われる。固有名詞「ナタン(נָתָן)」はこの動詞から来ており、ダビデに罪を指摘した預言者(サムエル記下12章)や「神は与えてくださった」という意味の名前として旧約に複数登場する。
נֵר
Ner
ともし火、灯明
幕屋・神殿のともし火から日常の灯明まで幅広く使われる語。詩篇119:105の「נֵר לְרַגְלִי דְבָרֶךָ וְאוֹר לִנְתִיבָתִי(あなたの言葉は私の足のともし火、私の道の光)」は聖書の光の神学を代表する一節。箴言20:27の「נֵר יְהוָה נִשְׁמַת אָדָם(人の霊は主のともし火)」にも登場する。
נָשָׂא
Nasa
持ち上げる、担う、赦す
「持ち上げる・担う」を基本の意味とし、「赦す(罪を取り去る)」にも使われる多義動詞。出エジプト20:7の「לֹא תִשָּׂא אֶת שֵׁם יְהוָה(主の名をみだりに唱えてはならない)」の「唱える(持ち上げる)」もこの語。民数記6:26の祭司の祝福「יִשָּׂא יְהוָה פָּנָיו אֵלֶיךָ(主があなたに御顔を向けてくださるように)」でも用いられる。
נַחַל
Nachal
谷川、涸れ川(ワジ)、渓谷
中東の地形に特有の季節性の川(雨期に流れ、乾期には涸れる川床)を指す。詩篇23:2の「עַל מֵי מְנֻחוֹת יְנַהֲלֵנִי(憩いの水のほとりに導かれる)」の背景にある地形概念。詩篇110:7の「מִנַּחַל בַּדֶּרֶךְ יִשְׁתֶּה(道の傍らの谷川から飲む)」にも登場。地名「ナハル(川・谷)」は現代イスラエルの地名にも頻出する。
נֶאֱמָן
Ne'eman
忠実な、信頼できる、真実の
語根 אמן(アーメン)から来るニファル形の形容詞で、「信頼に足る・真実の」を意味する。申命記7:9の「הָאֵל הַנֶּאֱמָן(真実の神)」に代表されるように、神の性格を表す形容詞として旧約神学の中心語の一つ。現代でもユダヤ・イスラエル社会で「誠実な人」を表す形容詞として日常的に使われる。
נִפְלָאוֹת
Nifla'ot
奇跡、驚くべき業(複数形)
「驚くべき・不思議な」を意味する形容詞 נִפְלָא の複数形で、神の奇跡的行為を指す定型語。詩篇139:14の「נִפְלָאִים מַעֲשֶׂיךָ(あなたの御業は驚くばかり)」、詩篇9:2の「אֲסַפְּרָה כָּל נִפְלְאוֹתֶיךָ(あなたの奇跡をすべて語ろう)」など礼拝詩篇で繰り返される。出エジプトの奇跡・荒野の導き・カナン定住を想起させる語として機能する。
נְחָשׁ
Nachash
蛇
創世記3章でエバに語りかけた「蛇(נָחָשׁ)」として旧約聖書の物語に最初に登場し、人類の堕落の契機となる生き物。民数記21章では荒野で民を噛んだ「炎の蛇(הַנְּחָשִׁים הַשְּׂרָפִים)」と、モーセが竿に巻きつけた「銅の蛇(נְחַשׁ נְחֹשֶׁת)」が登場し、ヨハネ3:14でイエスが自身の十字架のたとえとして引用する。
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アレフベット全22文字

א Alef ב Bet ג Gimel ד Dalet ה He ו Waw ז Zayin ח Het ט Tet י Yod כ Kaf ל Lamed מ Mem נ Nun ס Samekh ע Ayin פ Pe צ Tsade ק Qof ר Resh שׁ Shin ת Tav
מメム サメフס

聖書の引用は特記のない限り、聖書 新共同訳(日本聖書協会)による。

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