כ
カフ
Kaf / Kaph
字形の由来
カフの字形は「手のひら(כַּף / kaf)」を象形したものに由来します。古代フェニキア文字では開いた手の形をしており、やがて曲線的な כ の形に変化しました。語尾形(カフ・ソフィート)は ך と書き、縦長に伸びた独自の形をとります。
カフはベート・ギメル・ダレト・ペーとともに「ベグダフケファット(BeGaDKePhaT)」と呼ばれる6文字の一つで、ダゲシュ(点)の有無によって発音が変わります。ダゲシュありは破裂音 /k/、ダゲシュなしは摩擦音 /x/(「ハフ」と呼ぶ)で、ドイツ語の「ch」やスペイン語の「j」に近い音です。現代ヘブライ語でも両者は区別されます。
聖書の単語
כְּבוֹד
Kavod
栄光、重さ、威厳
旧約聖書神学の中心概念。語根 כָּבֵד(重い)から来ており、本来は「重さ・重みのあるもの」を意味し、そこから「威厳・名誉・栄光」へと意味が拡張された。出エジプト40章で幕屋を満たした「כְּבוֹד יְהוָה(主の栄光)」、イザヤ6:3の「מְלֹא כָל הָאָרֶץ כְּבוֹדוֹ(全地はその栄光に満ちている)」に代表されるように、神の臨在を視覚的に示す語として機能する。
כֹּהֵן
Kohen
祭司、司祭
神と民の間を仲介する役職。旧約聖書においてはアロンの子孫(レビ族)が祭司職を担い、犠牲の捧げもの・聖所での奉仕・律法の教えを職務とした。「כֹּהֵן גָּדוֹל(大祭司)」は最高の祭司職。現代でもユダヤ人の姓「コーエン(Cohen)」はこの語に由来し、祭司の血統を示す。
כִּי
Ki
なぜなら、〜ので、〜ということ(接続詞)
旧約聖書で最も頻出する語の一つ。「なぜなら」「〜ので」(理由)・「〜ということ」(名詞節)・「しかし」(逆接)など文脈によって多様な働きをする接続詞。創世記1章で「כִּי טוֹב(それは良かった)」と神が宣言する場面で繰り返され、旧約聖書の文体を支える基礎語の一つ。
כָּרַת
Karat
切る、契約を結ぶ(切る)
「契約を結ぶ(כָּרַת בְּרִית)」というヘブライ語慣用句の動詞。直訳は「契約を切る」で、古代中東において動物を切り裂いてその間を歩くことで契約を確認した風習(創世記15章のアブラハムの契約)から来ている。旧約聖書の契約神学を理解するうえで欠かせない語。
כֶּבֶשׂ
Kebes
子羊(雄)
旧約聖書の犠牲制度で最も頻繁に用いられる動物の一つ。イサクが「אַיֵּה הַשֶּׂה לְעֹלָה(燔祭の羊はどこにいるのか)」と問う創世記22章、過越の小羊(出エジプト12章)など、「小羊」は旧約聖書を通じて犠牲と贖いのシンボルとして繰り返し登場する。
כְּרוּב
Keruv
ケルビム(霊的存在・守護者)
創世記3:24でエデンの園を守るために配置され、出エジプト25章では契約の箱(אֲרוֹן הַבְּרִית)の上に金で作られた2体のケルブ(複数形: כְּרוּבִים)が神の臨在の座を形成する。エゼキエル書1・10章では車輪と翼を持つ幻として描かれる。キリスト教美術の「天使」のイメージとは大きく異なる。
כֶּסֶף
Kesef
銀、お金
古代イスラエルで通貨として流通した貴金属。旧約聖書では「金(זָהָב)」とともに富の象徴として頻出する。創世記23章でアブラハムがサラの墓地をヘテ人エフロンから「כֶּסֶף מָלֵא(相当の銀)」で購入する取引が詳細に記される。詩篇12:7では神の言葉を「炉で七度精錬された銀」にたとえる。
כִּסֵּא
Kisse
王座、玉座、椅子
王権・支配・権威の象徴。ソロモンの「כִּסֵּא שֵׁן גָּדוֹל(大きな象牙の玉座)」(列王記上10:18)に代表されるように、王の権威を具現化する装置として登場する。詩篇11:4の「יְהוָה בְּהֵיכַל קָדְשׁוֹ יְהוָה בַּשָּׁמַיִם כִּסְאוֹ(主はその聖なる宮に、主はその王座を天に置かれる)」では神の宇宙的王権を示す。
כֹּל
Kol
すべて、全ての、各々
旧約聖書で最も頻出する語の一つ。後続の名詞と結合して「すべての〜」を意味する。創世記1:31の「וַיַּרְא אֱלֹהִים אֶת כָּל אֲשֶׁר עָשָׂה וְהִנֵּה טוֹב מְאֹד(神は造ったすべてのものを御覧になった。それは極めて良かった)」、シェマー(申命記6:5)の「心を尽くし(בְּכָל לְבָבְךָ)、魂を尽くし(בְּכָל נַפְשְׁךָ)、力を尽くして(בְּכָל מְאֹדֶךָ)」にも繰り返し現れる。
כָּתַב
Katav
書く、記す、書き記す
旧約聖書における記録・律法・契約文書の作成を表す動詞。出エジプト31:18で神がモーセに「神の指で書かれた(כְּתֻבִים בְּאֶצְבַּע אֱלֹהִים)」二枚の石の板を渡す場面に登場。申命記17:18では王に律法の写しを「自ら書き写す(וְכָתַב לוֹ אֶת מִשְׁנֵה הַתּוֹרָה הַזֹּאת)」よう命じられており、書かれた言葉の権威を示す語として機能する。
聖書の引用は特記のない限り、聖書 新共同訳(日本聖書協会)による。