בֵ
ツェレ
Tsere · ē
記号の由来と用法
ツェレ(צֵרֵי)は「狭い・尖った」を意味するヘブライ語の語根に由来するとも言われ、2点を横に並べた記号(ֵ)で表される。長母音 /ē/ を発音し、e 音クラスの長母音として短母音のセゴル(ֶ)と対をなす。
ツェレの後にヨッド(י)が続く場合は「ツェレ・ヨード(ֵי)」となり、同じく長母音 ê を表す(ヒレクとヒレク・ヨードの関係と同様)。ツェレ単独(ヨッドなし)とツェレ・ヨードは音質上ほぼ同じ長母音だが、歴史的に語のカテゴリや活用形によって使い分けられてきた。旧約聖書の最重要語彙、בֵּן(息子)・אֵל(神)・לֵב(心)などにも現れる。
聖書に登場する単語
בֵּן
Ben
息子、子
旧約聖書の最頻出語のひとつ。「〜の息子」を意味する連語形(בֶּן)は系譜(「アブラハムの子イサク」など)・称号(「神の子ら」詩篇29:1)・地名(「ベン・ヒノムの谷」)と広く使われる。創世記22:2「あなたの息子、あなたの愛する独り子イサクを…ささげよ」のアケダー(イサク奉献)の場面でも中心に置かれる語。
אֵל
El
神、力ある者
ヘブライ語で神を表す最も基本的な語。אֱלֹהִים(エロヒム)の単数形に相当し、「全能の神(אֵל שַׁדַּי)」(創世記17:1)・「永遠の神(אֵל עוֹלָם)」(創世記21:33)・「嫉む神(אֵל קַנָּא)」(出エジプト記20:5)など多くの神の称号の中核をなす。イスラエル(יִשְׂרָאֵל)の名にも含まれる。
שֵׁם
Shem
名前;シェム(固有名詞)
「名前・名称」を意味する普通名詞としては、「主の名を呼ぶ(בְּשֵׁם יְהוָה)」(創世記4:26)・「主の名のために神殿を建てる」(列王記上5:17〜19)など礼拝の核心に位置する。固有名詞としてはノアの長男シェム(שֵׁם、創世記5:32)の名で、セム語族の語源でもある。
לֵב
Lev
心、意志、思考の中心
ヘブライ的思考では感情だけでなく意志・知性・人格の中枢を指す語。申命記6:5「あなたは心を尽くし(בְּכָל־לְבָבְךָ)、魂を尽くし、力を尽くして、あなたの神、主を愛しなさい」のシェマに中心的に登場する。エレミヤ書31:33「わたしの律法を彼らの胸の中に授け、心(לִבָּם)にそれを記す」では新しい契約の核心として描かれる。
כֹּהֵן
Kohen
祭司
神殿・幕屋での礼拝を執り行うレビ族の奉仕者。アロンの家系が大祭司職を担い(出エジプト記28章)、犠牲・香・大贖罪日の儀式など聖所の奉仕全般を担当した。詩篇110:4「あなたはメルキゼデクの位に従い、永遠に祭司(כֹּהֵן)である」はメシア預言として新約聖書ヘブライ書に引用される重要な節。後半の הֵן にツェレが置かれる。
聖書の引用は特記のない限り、聖書 新共同訳(日本聖書協会)による。