בֹ
ホレム
Holam · ō
記号の由来と用法
ホレム(חֹלֶם)は「夢を見る」を意味するヘブライ語の語根と同形であり、語源のつながりを示唆するとも言われる。他のほとんどの母音記号が子音文字の「下」に置かれるのとは対照的に、ホレムは子音文字の「左肩(上)」に1点(ֹ)を置く。この位置の違いがホレムの最大の視覚的特徴である。
ホレムには点だけの「ホレム・ハサル(欠字ホレム)」と、ヴァウ(ו)を母字として用いる「ホレム・ワウ(וֹ)」の2種がある。この2種は同じ長母音 ō を表すが、書き方が異なる。ヴァウなしのホレム(ֹ)は閉じた音節や特定の語形で使われ、ヴァウありのホレム・ワウ(וֹ)は開いた音節に多く現れる。次ページで扱うホレム・ワウと合わせて学ぶことで o 音クラス全体が把握できる。
聖書に登場する単語
כֹּל
Kol
すべて、あらゆる
旧約聖書全体で最も頻出する語のひとつ。「すべての民(כָּל הָעָם)」「すべての生き物(כָּל חַי)」「全地(כָּל הָאָרֶץ)」など名詞の前に置かれて全体性・包括性を表す。申命記6:5「心を尽くし(בְּכָל לְבָבְךָ)」の כָּל もこの語の活用形。連語形で母音が変化するが、基本形の כֹּל にホレムが置かれる。
עֹלָה
Olah
燔祭(全焼の供え物)
「上る・昇る(עלה)」の語根から来た名詞で、祭壇で全体を焼き尽くす「全焼のささげ物」を指す。レビ記1章に詳細な規定があり、創世記8:20でノアが箱舟を出た後に最初に神に捧げた供え物でもある。アブラハムがイサクを捧げた場面(創世記22:2)で「全焼のささげ物(לְעֹלָה)」として登場する。語頭の ע にホレムが置かれる。
שֹׁפֵט
Shofet
士師、裁き人
「裁く・統治する」動詞 שׁפט の分詞形で、「裁き人・指導者」を意味する。士師記の書名はこの語に由来し(שֹׁפְטִים)、カナン定着後に各部族を率いた軍事的・法的指導者たちを指す。アモス書5:24「正義を水のように、恵みの業を大河のように流れさせよ」など、神の公正な裁きを訴える文脈でも関連語が頻出する。語頭の שֹׁ にホレム。
קֹדֶשׁ
Qodesh
聖、聖なるもの
神の本質的な属性であり、聖書神学の核心語のひとつ。「聖なる、聖なる、聖なるかな、万軍の主」(イザヤ書6:3)の「聖なる(קָדוֹשׁ)」と同語根。「至聖所(קֹדֶשׁ הַקֳּדָשִׁים)」「聖なる日(יוֹם קֹדֶשׁ)」など礼拝・律法の核心をなす複合語を数多く作る。語頭の קֹ にホレム。
נֹחַ
Noach
ノア
「休息・慰め」を意味する語根(נוח)に由来する名前(創世記5:29「この子がわたしたちを慰めてくれるだろう」)。洪水物語(創世記6〜9章)の主人公で、神に義人と認められ箱舟を建造した。神がノアと結んだ「ノアの契約(בְּרִיתִי אֶת נֹחַ)」(創世記9:9)では虹を永遠のしるしとして示された。語頭の נֹ にホレムが置かれ、語末の חַ にパタハ・フルティヴム。
聖書の引用は特記のない限り、聖書 新共同訳(日本聖書協会)による。