בֱ
ハテフ・セゴル
Hateph-Segol · ĕ
記号の由来と用法
ハテフ・セゴルはセゴル(短母音 e)の最短版で、シェワとセゴルを重ねた記号(ֱ)で表される。ハテフ・パタハ(ă)と同様に喉音(א・ע・ה・ח)の下にのみ現れ、通常の子音にシェワが置かれる位置に喉音が来ることで生じる。三つのハテフ母音のなかではハテフ・パタハに次いで多く、ハテフ・カメツよりはるかに頻繁に現れる。
聖書学習者がまず出会うハテフ・セゴルの例は旧約聖書の最初の語 אֱלֹהִים(エロヒム、神)である。語頭のאにハテフ・セゴルが置かれ、「エ」と短く発音する。動詞のヒフィル形(使役形)で語根の第一子音が喉音の場合にも頻出し、アレフで始まる多くの固有名詞や一般名詞に見られる。
聖書に登場する単語
אֱלֹהִים
Elohim
神
旧約聖書の最初の語として、創世記1:1「初めに、神は天地を創造された」に登場する。語形は複数形だが単数の神を指す「壮大の複数(pluralis maiestatis)」として用いられる。語頭のאにハテフ・セゴルが置かれ「エ」と短く発音する。旧約聖書全体で2,500回以上使われる最重要語のひとつ。
אֱמֶת
Emet
まこと、誠実、真理
神の性質を表す重要語のひとつ。詩篇・箴言など知恵文学に頻出し、神の「慈しみ(חֶסֶד)」とセットで登場することが多い(詩篇25:10、詩篇61:8など)。現代ヘブライ語では「本当に」を意味する日常語としても使われる。語頭のאにハテフ・セゴル。
אֱנוֹשׁ
Enosh
人間(弱い存在として)
セツの子、アダムの孫の名(創世記4:26、5:6-11)。「弱い」「病気の」を意味する語根から派生し、神の前での人間の儚さを表す際に使われる詩的な語でもある。詩篇8:5「מָה אֱנוֹשׁ(人とは何者なのか)」という問いの形で用いられることで有名。語頭のאにハテフ・セゴル。
אֱדוֹם
Edom
エドム(地名・民族名)
ヤコブの兄エサウの別名であり、エドム人の祖先(創世記36章)。死海南東に位置した古代の王国で、「赤い」を意味する語根に由来する。エサウが赤い煮物と長子の権を交換した場面(創世記25:30)にちなむ。預言者オバデヤ書やエレミヤ書49章で裁きの対象として取り上げられる。語頭のאにハテフ・セゴル。
אֱלִיָּהוּ
Eliyahu
エリヤ(預言者の名)
「わが神は主(ヤハウェ)である」を意味する名を持つ北王国の預言者(列王記上17〜21章、列王記下1〜2章)。カルメル山でバアルの預言者450人と対決した場面(列王記上18章)が有名。マラキ書3:23「見よ、わたしは 大いなる恐るべき主の日が来る前に 預言者エリヤをあなたたちに遣わす」と預言され、メシア来臨の先駆者として位置づけられる。語頭のאにハテフ・セゴル。
聖書の引用は特記のない限り、聖書 新共同訳(日本聖書協会)による。