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בַ

パタハ

Patah · a
音価 a(短い「ア」)
長さ 短母音
記号 子音文字の下の横線(ַ)

記号の由来と用法

パタハという名称は、ヘブライ語で「開く」を意味する動詞 פָּתַח(patach)に由来します。/a/ の音を発音する際に口を大きく開くことをそのまま名前に表した記号で、子音文字の下に引かれた短い横線(ַ)の形をしています。マソラ学者が6〜10世紀にかけて聖書テキストの発音を保存するために体系化した点子音(ニクダ)のひとつです。

パタハは最も基本的な短母音のひとつで、旧約聖書全体にわたって広く使われます。特に注目すべき用法が「パタハ・フルティヴム(潜行パタハ)」です。語末に喉音(ח・ע・ה)が来る場合、パタハはその喉音の「前」に割り込んで発音されます。たとえば「霊・風(רוּחַ / ruach)」の語末のパタハは通常の位置とは逆に読むため、「ルーハッハ」ではなく「ルーアハ」と発音します。

聖書に登場する単語

שַׁבָּת
Shabbat
安息日
創世記2章3節「第七の日を神は祝福し、聖別された」に初出。出エジプト記20章8節の十戒にも「安息日を心に留め、これを聖別せよ(זָכוֹר אֶת יוֹם הַשַּׁבָּת)」として繰り返される。語頭の שַׁ にパタハが置かれる。
עַם
Am
民、人々
旧約聖書全体で最も頻出する語のひとつ。「わたしの民(עַמִּי)」という形で、神がイスラエルとの関係を表す際に繰り返し使われる(出エジプト記3:7「わたしは、エジプトにいるわたしの民の苦しみをつぶさに見、追い使う者のゆえに叫ぶ彼らの叫び声を聞き、その痛みを知った」など)。
יַד
Yad
手
「主の手(יַד יְהוָה)」という定型表現が出エジプト記・申命記・詩篇に繰り返し登場し、神の力・支配・救済を象徴する。現代ヘブライ語では「記念館」を意味する固有名詞(Yad Vashem など)にも使われる。
יַם
Yam
海
創世記1章10節「水の集まった所を海と呼ばれた」に初出。「葦の海(יַם סוּף)」は出エジプトの奇跡の舞台として旧約聖書で繰り返し言及される。
מַיִם
Mayim
水
創世記1章2節「神の霊が水(מַיִם)の面を動いていた」に初出。語頭の מַ にパタハが置かれる。常に複数形として使われるのがヘブライ語の特徴で、単数形は存在しない。
בַּיִת
Bayit
家、神殿
「主の家(בֵּית יְהוָה)」はエルサレム神殿を指す定型表現。アレフベット第2文字「ベート(בֵּית)」の名の由来でもある。語頭の בַּ にパタハ(+ダゲシュ)が置かれる。
רוּחַ
Ruach
霊、風、息
創世記1章2節「神の霊(רוּחַ אֱלֹהִים)が水の面を動いていた」に初出。語末の חַ はパタハ・フルティヴムの典型例で、「ルーハッハ」ではなく「ルーアハ」と読む。旧約聖書神学の核心概念のひとつ。
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בֲ ă בֱ ĕ בֳ ŏ בְ ə/– בַ a בִ i בֻ u בֶ e בָ ā/o בֵ ē בֹ ō בָה â בִי î בוּ û בֵי ê בוֹ ô
בְシェワ ヒレクבִ

聖書の引用は特記のない限り、聖書 新共同訳(日本聖書協会)による。

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