בִ
ヒレク
Hiriq · i
記号の由来と用法
ヒレク(חִירִיק)は「軋む・きしむ音」を意味するアラム語起源の語に由来するとも言われる。子音文字の下に置かれた1点(ִ)で表され、「イ」に近い短母音 /i/ を発音する。点子音(ニクダ)の中では最も形が単純な記号のひとつである。
ヒレクの後にヨッド(י)が続く場合、そのヨッドは発音されず長母音を示す母字(マトレス・レクティオニス)として機能し、長母音 î を表す「ヒレク・ヨード(ִי)」となる。ヒレク(短)とヒレク・ヨード(長)は外見の差が1点か2文字かにあり、読み分けには慣れが必要である。前置詞 מִן(〜から)、接続詞 כִּי(〜なので)など頻出語に広く見られる。
聖書に登場する単語
כִּי
Ki
〜なので、〜ということ(接続詞)
旧約聖書の最頻出語のひとつで、原因・理由(「なぜなら〜だから」)や内容(「〜ということ」)を示す多機能な接続詞。創世記・詩篇・申命記など全書にわたって数千回登場する。詩篇の定型句「主はいつくしみ深い、その慈しみはとこしえに続く(כִּי לְעוֹלָם חַסְדּוֹ)」でも冒頭に使われる。
מִצְרַיִם
Mitsrayim
エジプト
ノアの孫、ハムの子の名(創世記10:6)であり、エジプトという国と民族の名でもある。語形は双数形で、上エジプト・下エジプトの二地域を指すとも解釈される。出エジプト記全体をはじめ、族長物語・預言書・詩篇と全書にわたって登場し、旧約聖書の救済物語の中心舞台となる。語頭の מִ にヒレクが置かれる。
מִשְׁפָּט
Mishpat
裁き、正義、法
神の正義と公正さを表す重要な神学用語。アモス書・ミカ書・イザヤ書などの預言書で「正義(צְדָקָה)」と並んで頻出し、社会的弱者の保護と神の公正な統治を訴える文脈で使われる。詩篇97:2「正義と裁きが御座の基」などの表現でも重要な役割を担う。語頭の מִ にヒレクが置かれる。
כִּסֵּא
Kisse
王座、玉座
王の権威を象徴する玉座。列王記上10:18〜20にソロモンの壮麗な象牙の王座が描かれ、詩篇45:7「神よ、あなたの王座はとこしえに続く」では神の玉座として用いられる。イザヤ書6:1「主が高く上げられた王座に座しておられるのを見た」は預言者イザヤの召命の場面で印象的に登場する。語頭の כִּ(ダゲシュ付き)にヒレクが置かれる。
מִקְדָּשׁ
Miqdash
聖所、神殿
「聖なる場所」を意味し、幕屋の至聖所(出エジプト記15:17「あなたが造られた聖所」)からエルサレム神殿全体まで広い意味で用いられる。詩篇68:36・74:7など詩篇に多く登場し、エゼキエル書では理想の神殿の設計図が詳細に描かれる(エゼキエル書40〜48章)。語頭の מִ にヒレクが置かれる。
聖書の引用は特記のない限り、聖書 新共同訳(日本聖書協会)による。