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בִי

ヒレク・ヨード

Hiriq Yod · î
音価 î(長い「イー」)
長さ 長母音
記号 子音文字の下の1点(ִ)+母字ヨッド(י)

記号の由来と用法

ヒレク・ヨード(חִירִיק יוֹד)は、ヒレク(ִ)とヨッド(י)を組み合わせた長母音「イー(î)」である。ヨッドはここでは子音としてではなく「母字(マーテル・レクティオニス)」として機能し、発音されずに母音の長さを示す文字的なしるしとなる。ヒレクだけで書かれた短母音 i と区別するため、学習初期には ִ(点のみ)と ִי(点+ヨッド)を意識的に見分けることが大切である。

ヒレク・ヨードはヘブライ語の文法構造の中で特に重要な役割を果たす。一人称代名詞「わたし(אֲנִי)」・接続詞「なぜなら(כִּי)」・疑問代名詞「だれ(מִי)」のような超高頻度語がこの母音を持つ。また「わたしの〜」を意味する一人称単数接尾辞(ִי)もヒレク・ヨードであり、אֵלִי(わが神)・בֵּיתִי(わが家)・עַמִּי(わが民)など接尾代名詞の形でも頻出する。長母音 î を読み飛ばさず、しっかり引き伸ばして発音することがヘブライ語の音感を掴む近道となる。

聖書に登場する単語

אֲנִי
Ani
わたし、わたしは
ヘブライ語の一人称単数代名詞。主語として文頭に置かれることが多く、強調のために用いる場合と、ただ人称を明示する場合がある。同じ「わたし」を表す אָנֹכִי(アノキ)とほぼ同義だが、詩的・古典的な文体では אָנֹכִי がより多く使われる傾向がある(創世記3:10・出エジプト記20:2など)。一方 אֲנִי は散文・詩文を問わず旧約全体で広く使用され、語末のヒレク・ヨード(נִי)が「わたし」を表す音の核となる。
כִּי
Ki
なぜなら、〜だから、〜ということ
ヘブライ語で最も使用頻度の高い語のひとつで、文脈によって「なぜなら(原因)」「〜ということ(名詞節)」「〜のとき(時間)」「しかし(逆接)」など多様な意味を持つ。詩編23:4「כִּי אַתָּה עִמָּדִי」は「あなたがわたしと共にいてくださる」と訳され、危難の中での神への信頼の核心を表す。わずか2文字ながら聖書のあらゆる書に登場し、ヒレク・ヨードの代表語として覚えやすい。
שִׁיר
Shir
歌、詩
「歌う」動詞 שׁיר の名詞形。旧約聖書で詩篇・雅歌・出エジプト記の勝利の歌など、礼拝と祝祭の「歌」全般を指す語として用いられる。雅歌の書名 שִׁיר הַשִּׁירִים(シールー・ハシーリーム)は「歌の中の歌」を意味する最上級表現で、新共同訳では「ソロモンの雅歌」と表題される(雅歌1:1)。שִׁי の部分のヒレク・ヨードが長い「イー」の音を作り出す。
מִי
Mi
だれ、だれが
ヘブライ語の疑問代名詞「だれ(人について)」。「何(モノについて)」を問う מָה と対をなす基本疑問詞で、旧約全体に頻出する。詩編24:3「מִי יַעֲלֶה בְהַר יְהוָה(だれが主の山に登れるのか)」など礼拝・典礼の文脈でも多く現れる。わずか2文字ながらヒレク・ヨードの発音を明確に示す典型例として初学者の記憶に残りやすい語。
אֵלִי
Eli
わが神
אֵל(神)に一人称単数接尾辞 ִי(わたしの)が付いた形。詩編22:2に「אֵלִי אֵלִי לָמָה עֲזַבְתָּנִי」、すなわち「わたしの神よ、わたしの神よ、なぜわたしをお見捨てになるのか」という叫びがあり、深い苦悩と神への訴えを表す冒頭句として旧約最大の嘆きの詩篇に登場する。この一節はマタイ27:46でイエスが十字架上で引用したことでも広く知られる。語末の לִי にヒレク・ヨードが現れる。
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בֲ ă בֱ ĕ בֳ ŏ בְ ə/– בַ a בִ i בֻ u בֶ e בָ ā/o בֵ ē בֹ ō בָה â בִי î בוּ û בֵי ê בוֹ ô
בָה大カメツ・ヘー シュルクבוּ

聖書の引用は特記のない限り、聖書 新共同訳(日本聖書協会)による。

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