בֶ
セゴル
Segol · e
記号の由来と用法
セゴル(סֶגּוֹל)は「ブドウの房」を意味するヘブライ語に由来し、3点が逆三角形に並んだ記号の形がブドウの実の集まりに似ていることからこの名がついたとされる。子音文字の下に置かれた逆三角形状の3点(ֶ)で表され、短母音 /e/ を発音する。e 音クラスの短母音として、長母音のツェレ(ֵ)・ツェレ・ヨード(ֵי)と対をなす。
セゴルは旧約聖書の最頻出母音記号のひとつで、二音節名詞の「セゴラート名詞(מֶלֶךְ・נֶפֶשׁ・אֶרֶץ のような CeCeC 型)」に典型的に現れる。このパターンの語は旧約聖書の最重要語彙を多数含み、ヘブライ語学習の入門段階で最初に覚えるべき語の宝庫である。
聖書に登場する単語
אֶרֶץ
Erets
大地、土地、国
旧約聖書2語目として、創世記1:1「初めに、神は天地(הַשָּׁמַיִם וְאֵת הָאָרֶץ)を創造された」に登場する。天(שָׁמַיִם)と対になって宇宙全体を表すほか、「約束の地(אֶרֶץ כְּנַעַן)」「イスラエルの地(אֶרֶץ יִשְׂרָאֵל)」など地理的・神学的に重要な複合語を作る。セゴラート名詞の典型例。
מֶלֶךְ
Melekh
王
人間の王(士師記・列王記など)から神の王権(「万軍の主は王である」詩篇24:10など)まで広く使われる。「万軍の王、主(יְהוָה מֶלֶךְ צְבָאוֹת)」はイザヤ書の重要な称号。ヨハネ19:19の「ユダヤ人の王」もこの語の概念に基づく。セゴラート名詞のもっとも代表的な語のひとつ。
נֶפֶשׁ
Nefesh
たましい、命、存在
創世記2:7「主なる神は土の塵で人を形づくり、その鼻に命の息(נִשְׁמַת חַיִּים)を吹き入れられた。人はこうして生きる者(נֶפֶשׁ חַיָּה)となった」に初出。「魂」「命」「存在全体」を指す重要語で、申命記6:5「心を尽くし、魂(נַפְשְׁךָ)を尽くし、力を尽くして」にも登場する。
לֶחֶם
Lehem
パン、食物
日々の糧(出エジプト記16章のマナ)から、神殿の「臨在のパン(לֶחֶם הַפָּנִים)」(出エジプト記25:30)、さらにベツレヘム(בֵּית לֶחֶם=「パンの家」)という地名にも刻まれる。申命記8:3「人はパンだけで生きるのではなく、主の口から出るすべての言葉によって生きる」でも中心語として用いられる。
כֶּסֶף
Kesef
銀、金銭
旧約時代の主要な貨幣素材。アブラハムがサラの墓地としてマクペラの洞穴を銀400シェケルで購入した場面(創世記23:15〜16)、ヨセフが銀20枚で兄弟に売られた場面(創世記37:28)など、取引・契約・背信の象徴として旧約全体に登場する。詩篇12:7「主の言葉は混じりけのない銀(כֶּסֶף)」のように神の言葉の純粋さのたとえにも使われる。
聖書の引用は特記のない限り、聖書 新共同訳(日本聖書協会)による。